支払停止の抗弁権とは
購入した商品や契約したサービスに問題があった(不良品・サービスが受けられないなど)場合、信販会社からの分割支払金の請求を拒むことが割賦販売法で認められています。この拒否できる権利のことを支払停止の抗弁権と呼びます。
販売店とのトラブルが解決するまでの間、信販会社への支払いをストップできるというものであり、契約を解除するものではないため、信販会社へ支払済みの分割支払金(既払金)の返還を当然に受けられるものではない点には注意が必要です。
支払停止の抗弁権が認められないケース
- クレジット契約が割賦販売法の適用を受けないとき
- 商品の購入等が営業のため、営業としてのものであるとき(業務提供誘引販売個人契約・連鎖販売個人契約にあたる場合を除く)
- 支払総額が4万円未満のとき(リボルビング払いのときは現金販売価格が3万8千円未満のとき)
- お客様の支払いの停止が信義に反するとき
以上のような場合には支払停止の抗弁権は認められません。クレジットカードのマンスリークリアのような支払期間が2月未満の取引などは割賦販売法の適用を受けないため注意が必要です。営業のための契約であった場合なども支払停止の抗弁権は認められません。また、名義貸し取引に積極的に加担していた場合など信義則に反し認められないことも考えられます。
また、以下のような「販売店に対して抗弁事由があること」が大前提として必要となります。なお、代表的なものを掲げているのみで抗弁事由は以下のものに限られるわけではありません。
- 購入した商品を引き渡してくれない・契約したサービスを提供してくれない
- 購入した商品や契約したサービスに欠陥がある
- 見本やカタログと異なる
- 販売(提供)の条件となっている役務の提供がない
- 販売店に債務不履行等がある
- 契約が無効・取り消し得るとき
支払停止の抗弁権の行使方法
STEP
販売店との交渉
抗弁事由の解消が出来ないか等、販売店と交渉を行うよう努めてください。
STEP
信販会社への通知
利用した信販会社(クレジット会社)に対して支払停止の抗弁権を行使する旨の通知を行います。
STEP
販売店への通知及び意思表示
販売店に対して抗弁事由の内容と契約解除や履行の請求などの意思表示を行います。
トラブルが解決した場合、そのまま契約解除となったり、信販会社からの請求が再開されたりすることとなります。
注意点等
- 信販会社・販売店への通知は書面で行うのが確実でしょう(割賦販売法上、購入者等に努力義務が課せられていますし、信販会社との契約上、書面での提出が規定されている場合も有り得ます)
- 信販会社からの調査のためのヒアリングには協力しましょう
- 信販会社への通知は一度行えば、それ以降の支払期日の分も請求が停止されます
- 支払停止の抗弁が認められた場合、信販会社から加盟指定信用情報機関へ支払停止の抗弁の申出があったことが登録されます
- 支払停止の抗弁が認められた場合で、申出以後に口座振替が行われてしまったときは、信販会社から返金されます
- 強行規定のため支払停止の抗弁の権利をあらかじめ排除する合意は無効となります